Loading

所得拡大促進税制について

先日の日経新聞に、電機大手のソニーが2018年度に年収ベースで約5%の賃上げに踏み切る、という記事が載っていました。また、宅配便大手ヤマト運輸も配達量が減少することを覚悟した値上げをして、従業員の待遇改善を進めています。最近の大企業においては、人手不足により事業継続が困難になることが最大のリスクと考え、①給与に代表される金銭的な待遇面の改善、②連続休暇制度、フレックスタイム制、クラウドストレージを前提とした在宅勤務等に代表される働き方の柔軟化を急速に進めているようです。私がこのような話をさせていただいた会社の中からも、7日間連続休暇制度の導入の検討を始めたところも出てきました。審議中の働き方改革関連法案においても、5日以上の有給休暇取得を企業側に義務付けるという話もあるようで、今後、働き方が大きく変わっていくのではと感じています。今回、説明するのは、大きな2つの動きのうちの一つ目、①給与に代表される金銭的な待遇面の改善を行った場合に適用される所得拡大促進税制についてです。

所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している法人(又は個人事業主)が、平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額と比較して増加する等一定の要件を満たした場合に、雇用者給与等支給増加額の一定割合を法人税額(又は所得税額)の一定割合を上限として税額から控除できる制度です。

毎年、数多くの税制改正が行われ、改正されたものについては、あまり影響のないものが多いのですが、所得拡大促進税制は適用される場合も多く、かつ、絶対額による上限がないので金額的にも大きくなることが多いので注意が必要です。平成25年度税制改正により創設されて以来、細かい改正を繰り返していますが、平成30年度税制改正においても改組が予定されていますので、平成30年3月31日以前開始事業年度と平成30年4月1日以降開始事業年度に分けて簡単にまとめておきます。

平成30年3月31日以前開始事業年度 平成30年4月1日から平成33年3月31日開始事業年度
対象 青色申告している個人事業主及び法人(業種による制限はなし)
対象となる給与 国内雇用者に対して支給する適用事業年度において損金算入される給料、賞与等の給与の額。ただし、役員、役員の親族等及び使用人兼務役員に対して支払う給与や退職手当等は対象になりません。
申請等 制度利用に際して事前申請は必要ありませんが、確定申告の際に明細書(別表)の添付が必要になります。
要件 (1)   平成24年度の給与総額と比べて適用年度の給与総額が3%以上増えていること(大企業は5%以上)

(2)   給与総額が前年を上回っていること

(3)   一人あたりの平均給与が前年比を上回っていること(大企業は前年比2%以上)

(1) 一人あたりの平均給与が前年比1.5%以上増えていること(大企業は3%以上)

 

(2) 大企業については国内設備投資額が当期減価償却費の90%以上であること(中小企業者は当該要件はなし)

控除額 いずれか小さい方

中小企業者等

・法人税額(所得税額)の20%

・要件(1)の増加額の10%+要件(3)が2%以上増加している場合は要件(3)の増加額の12%

 

 

大企業

・法人税額の10%

・要件(1)の増加額の10%+要件(2)の増加額の2%

いずれか小さい方

中小企業者等

・法人税額(所得税額)の20%

・給与等支給増加額(雇用者給与等支給額 – 比較雇用者給与等支給額(前年の継続雇用者給与等支給額))の15%

(一定の要件を満たす場合25%)

大企業

・法人税額の20%

・前年からの給与等支給増加額の15%

(一定の要件を満たす場合20%)

その他 設立事業年度も適用あり 設立事業年度は適用なし

中小企業者等は大企業の制度と選択適用可能

資本金1億円超の法人は事業税外形標準課税付加価値割にも適用あり

以上、わかりづらいとは思いますが、もし、従業員を新たに雇用したり、賃上げや賞与の増額をした場合には、所得拡大促進税制という制度があるということを思いだしてください。

関連記事

  1. 合意された手続実施結果報告書の作成について
  2. 商業・サービス業・農林水産業活性化税制について

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP