とあるベンチャー企業の資本政策を頼まれて作っていたら、興味深いニュースが飛び込んできました。
新型株式報酬は「給与」 国税庁が説明、税率最大55%に
2023年5月29日付
いろいろな見方があるようですが、そもそも税制適格ストックオプションという制度がありながら、それでは実現できないことを、テクニックを駆使して、実現しようとしているので、今回の国税庁の見解は致し方ないかな、という派です。とはいいながら、職業柄、潜在的なリスクの話をすることはあっても、そのリスクが顕在化することはあまり想定していないので、そう考えると少し恐ろしい感じではあります。以前利用した有償ストックオプションもそういう可能性があったということでしょうし。もちろん、既に導入してしまった800社はかわいそうではあるものの、国税庁に非があるとすると、見解を明確にするタイミングの問題なのかもしれません。
今後のストックオプションの考え方について、2023年5月30日付の日経新聞に簡単にまとまっています。税制適格型、信託型、有償型、従業員持ち株会の4パターンです。有償型ストックオプションは、市民権を得てるってことでいいんでしょうね。
株式報酬、脱・信託型を模索 新興企業に動揺広がる
2023年5月30日付
なお、税制適格型ストックオプションについて1株あたりの権利行使価額を大幅に下げることを可能にする「セーフハーバー」を設ける予定とのこと。権利行使価額を純資産価格でもいけてしまいそうなので、怖いくらい下げられそうです。
資本政策を考えるにあたって、直近の増資価格=ストックオプションの権利行使価格を前提に資本政策を考えていましたが、このセーフハーバーによってその前提を崩していいのかどうか。税法上は許されても、経営者、直近の増資引き受け者よりも権利行使価格を低くすることには、ハレーションが少しありそうな感じがします。
しばらく、実務がどのように動くのか、様子を見てみたいと思います。
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