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クラウド会計ソフトレビュー①<初心者編>

こんにちは、左右公認会計士事務所のSです。

会計記帳を行うにあたり、多くの企業の皆様は何かしらの会計ソフトをお使いかと思います。当事務所でも、これまではインストール型の弥生会計が長らく主力として活躍しておりました。しかしここ数年で、ベンチャー系企業や小規模事業の企業を中心に、徐々にクラウド会計の導入を選択される例が増え、こちらからクラウド会計の導入をお勧めするようなケースも出てきております。クラウド会計ソフトも各社からリリースがされておりますが、私が比較的触れることの多い、Freee、MF(マネーフォワード)クラウド、弥生会計オンラインを中心に、様々な切り口から、個人的な意見や使い心地をご紹介していきたいと思います。

(※2023年5月末現在の状況。バージョンによっては利用可能範囲等が異なる場合があります。また、私自身も使い方を勉強している最中です。より良い使い方や機能が見つかった場合は、後ほど追加でお知らせできればと思います。)

今回は、初心者(会計ソフトになじみの無い人)目線でのハードルの感じやすさを中心に、全体の総評をしてみました。

<Freee>

登録のメインのとなる『自動で経理』の画面の見た目の印象は、会計ソフトというより、ちょっとしっかりした家計簿アプリに近い気がします。会計ソフトの画面というと、簿記の仕訳がずらっと並んでいる…というものも多いですが、取引1件ごとが大きく、余白もとられていて、平たく言うとオシャレなので、「専門的で複雑で難しそう…」という圧迫感や堅苦しさは一感じにくいように思います。入力すべきところにはテキストボックスが用意されており、最低限に絞られているので、迷うことも少なそうです。メニューに使われている言葉も「取引」「受発注」「レポート」「給与」など、一般的に使われているものがチョイスされており、ピンときやすいのではないでしょうか。決まった内容や単純な取引であればかなり登録しやすいですし、初心者でもざっくりとできた感じがする、というところまで持っていきやすいと思います。ただ、一見簡単なのでどんどん登録していけますが、取引を登録する画面によって集計先が違ってしまう場合があり、後から内容を見直したり、間違えたものを修正したりするのには、正直少し苦労しました。また、科目に補助科目がなく、品目やメモ等のタグ付けで管理できる自由さはFreeeの特徴の一つですが、入力時のルールを自分で決めて進めないと、一見まとまっているが中身はごちゃごちゃ、という状態にもなりやすいです。そういう意味では、会計への理解というより、Freee自体のシステムへの理解や知識の方が求められるような印象です。

<MFクラウド>

連携口座の取引明細がメインの登録画面になると思いますが、機能はかなりシンプルに感じました。取引が一覧でずらっと並ぶ形で、Freeeのような目新しいデザインではないので、見た目の取り付きにくさは多少増しますが、従来の会計ソフトよりはゆとりがとられているように思います。とはいえ、人によっては会計ソフト特有の圧迫感を感じやすいかもしれません。入力可能箇所にテキストボックスが用意されているのは良いですが、例えば銀行口座の明細の取引日や摘要(どこから振り込まれた/どこに振り込んだ、の情報)など、あまり書き変える必要はないんじゃないか?(むしろ変えない方が良いのでは?)と思う部分も編集が可能になっているので、作業時に迷ったり、うっかり書き変えてしまったりする要因になる気はします。必要な入力箇所さえわかってしまえば、一覧性の良さを生かしてサクサク作業を進められるのですが、多少なりとも知識や経験のある人でないと、少しハードルを感じるかもしれません。ただ、個人的にありがたいポイントを紹介すると、画面を遷移したり更新したりしなければ、登録した取引が一時的に画面の下部に貯まっていくので、うっかり操作を間違えてしまった場合でも、即座に見直しや修正ができる点は便利だと思います。また、口座連携画面、手入力など、どこから取引を入力しても集計される先が1つなので、管理もしやすく、シンプルさが有利に働いているように思います。

<弥生会計オンライン>

画面のデザインとしては文字やメニューが大きめに取られており、ちょっとあか抜けない印象もありますが、視認がしにくいわけではないです。入力に使う範囲がその分狭くなっているからか、はたまた色遣いの問題なのか、作業時の画面が少し窮屈に感じるのと、動作が若干特殊な部分がある(マウスカーソルの位置によって、メニューが展開されたり、入力画面と一覧画面を切り替えたり…)ので、そのあたりに慣れるまでは、意図した操作がしにくいかもしれません。前述のFreee、MFクラウドは、口座等との自動連係からの登録画面がメイン(=メニューのトップ)におかれていましたが、弥生会計オンラインでは、『かんたん取引入力』という、手入力を前提とした物が最初に置かれている点は、他2つと異なる箇所です。手入力といっても『かんたん取引入力』の画面はかなり初心者向けの易しい設計になっており、一番の特徴としては、科目選択のプルダウンを開くと、一つ一つに「●●したときの費用」などの説明書きがついている点です。勘定科目ってどれを使えばいいの?と迷ったときに、ある程度のガイドがついているのは、全く知識の無い方や初心者にとっては心強いのではないでしょうか。また、取引例というテンプレートも最初から豊富に用意されており、こちらも丁寧な説明文がセットになっています。取引例はキーワードで検索できるほか、よく使う仕訳を登録することもできるので、頻出する取引を登録してカスタマイズしていけば、より使いやすくなるかもしれません。口座連携ができない口座が多い(もしくはあまり使いたくない)等の理由で、とにかく手入力がメインになるようなケースでは、一番サポートは手厚いように思います。

いかがでしたでしょうか?あくまで私個人の評価・感想にはなりますが、参考になれば幸いです。いずれにしても、実際に3つのソフトを使ってみて感じたのは、同じクラウド会計ソフトとはいえ、それぞれで得意とする分野が違っているという事です。単純に備えている機能という点では現状各社で大きな差はありませんが、画面の構成や操作感などは大きく異なるため、会社の取引内容や件数のほか、扱う人の知識・経験のレベルによって、使いやすいと感じるソフトは違ってくるように思います。

当事務所では、上記のようなクラウド会計ソフトの導入をはじめとした、企業のDX支援も積極的に行っております。お客様の状況に合ったソフトのご提案もいたしますので、導入をご検討の際はぜひ一度ご相談ください。

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