こんにちは、左右公認会計士事務所のSです。
お客様のfreeeをチェックしたり、記帳のお手伝いをしたりしていると、ふとしたところで、既に回収されたはずの売掛金や、払ったはずの未払金がいつまでも表示されつづけている、というシーンに出くわすことがあります。この現象の多くは、未決済取引の消込ができていないことが原因となっています。未決済取引は、試算表上にはあらわれない、少し隠れた機能ではあるのですが、freeeを「使いこなす」という視点で見ると、一つポイントになる機能だと思います。今回は、未決済取引をきちんと処理するための具体的な方法についてご紹介します。
仕訳と取引について
未決済取引の説明に移る前の前提として、freeeには「仕訳」の他に「取引」という概念が存在します。この違いを言語化するのは難しいのですが、「仕訳」は単純に勘定科目の金額の動きを記録するだけのもの、「取引」には決済(=入出金)のステータス(発生日や支払期日、決済状況)が紐づいているもの、という住み分けのようです。

こうした視点で見ると、ほとんどの記帳内容が「取引」に該当するというパターンも多いのではないでしょうか。
もう少し具体的に、freeeの画面上での「仕訳」と「取引」の画面表示の違いを示すと、以下のような感じです。画面を見ると、「仕訳」は主に科目間の金額の動きだけを記録するのに対し、「取引」は金額の動きに連動して、収支や決済、口座の情報も登録する、というイメージを掴んでもらいやすいかと思います。
●仕訳登録画面の例(振替伝票)

●取引登録画面の例(収入・支出形式)

未決済取引について
「取引」には決済が紐づいているので、発生と同時に支払や回収が完了しているものもあれば、今後行われるものも存在します。この、「今はまだ決済がされていないが、将来的に行われるもの」を、freee上では未決済取引と呼んでいます。未決済取引は、手動で登録したときはもちろんですが、例えばfreee請求書経由で売り上げを登録したり、freee人事労務で計算した給与や社会保険料を会計に連携したり、経費精算をしたりした際などにも、自動的に売掛金や未払給与、未払社会保険料などが未決済取引として自動的に登録されるようになっています。
またfreeeでは、「取引」として登録すると、帳簿の金額だけでなく、決済のステータスも自動で追跡してくれます。それらの情報は「入金管理レポート」や「出金管理レポート」等でまとめて管理ができ、未決済の状況を即座に一覧できるので、支払いや回収の遅れや漏れの防止に役立てることができます。
未決済取引の消込について
使いこなせると便利な未決済取引ですが、一度未決済として登録された取引は、ステータスを決済済みにするまでは消えることはありません。前述のように、未決済取引は他のプロダクトとの連携時に自動的に登録される場合もあるので、それを認識したうえで、決済時に正しく処理ができていないと、冒頭で述べたように、既に回収や支払が終わったはずの未決済取引の情報が、亡霊のようにずっと残り続けてしまう…という現象が起こります。
正しく決済処理ができていない原因のほとんどが、決済が行われた時に「取引」における決済ではなく、「仕訳」として登録している事です。freeeへ入力をする際、振替伝票や仕訳帳形式を用いて入力すると、試算表や元帳にはその通りに反映されますが、freee内部の「取引」としては、未決済として残されてしまいます。「取引」として登録し消し込むためには、自動で経理の「未決済取引の取込」や、取引登録画面の「決済」の機能を用いる必要があります。これにより、「取引」としても未決済取引を消し込むことが可能になります。
今回はfreeeの一機能に特化してご紹介してみました。実際にfreeeを使っている場合でも、未決済が残った状態はよく目にします。見た目的にも何となく整理ができていない気分になりますし、せっかく便利な機能があるのに、使えていないのはもったいないので、もう一歩freeeを使いこなしたい、という場合に意識してみて頂けたらと思います。
当事務所では、クラウド会計ソフトの導入から、運用支援も行っております。ぜひお気軽にご相談ください。
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