こんにちは、左右公認会計士事務所のSNです。2025年も後半に入り、年末調整の準備を始める時期となりました。今回は、令和7年(2025年)の年末調整に向けて、基本的な内容をまとめてみました。
年末調整とは
給料は、所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれた手取り額が振り込まれます。このうち「所得税」は、毎月概算で差し引かれていますが、年間の所得に対して実際に納めるべき金額とは異なる場合があります。その差額を年末にまとめて調整し、払いすぎや不足を精算するのが「年末調整」です。
年末調整と確定申告の違い
年末調整は、会社が従業員の代わりに税額を計算・精算する手続きです。一方、確定申告は自分自身で1年分の所得をまとめて申告・納税する手続きです。会社から給料をもらっている人の多くは、会社が年末調整によって所得税を精算するため、自分で確定申告を行う必要はありません。
年末調整の対象者
年末調整の対象となるのは、基本的に12月時点で会社に在籍している人です。ただし、次のような場合は年末調整だけでは完結せず、自分で確定申告を行う必要があります。
① 給料以外の収入がある場合
② 複数の勤務先から給料をもらっている場合
③ 年収が2,000万円を超える場合
④ 住宅ローン控除を初めて受ける場合
⑤ 医療費控除を受ける場合
上記以外にも確定申告が必要になるケースがあります。自分が該当するかどうか、事前に確認しておくことが大切です。
年末調整で提出する申告書
・「令和7年分扶養控除等(異動)申告書」
継続勤務者であれば、昨年(2024年)の年末調整時に提出した書類です。途中入社の場合は、入社時に提出します。扶養親族や配偶者の状況に変更があった場合は、その都度提出が必要です。この申告書をもとに、今年(2025年)の扶養控除などが計算されます。
・「令和7年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給
与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
この1枚で以下の控除がまとめて申告できます。
① 基礎控除
② 配偶者控除
③ 特定親族特別控除
④ 所得金額調整控除
基礎控除はほとんどの人が該当する控除なので、毎年の年末調整で提出することになります。
・「令和7年分保険料控除申告書」
この1枚で以下の控除がまとめて申告できます。
① 生命保険料控除
② 地震保険料控除
③ 社会保険料控除
④ 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoも含む)
給与から天引きされている健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料は、申告書に記入する必要はありません。
・「令和8年分扶養控除等(異動)申告書」
翌年の給与計算に使われる書類です。令和8年分の申告書は、令和7年(2025年)の年末調整時に提出します。提出後、扶養家族などに変更がなければ、翌年(2026年)の年末調整で引き続き使用されます。
申告書以外に提出が必要なもの
・「保険料控除証明書/払込証明書」
保険料控除を受ける場合は、支払った保険料の控除証明書や払込証明書の提出が必要です。
・「住宅借入金等特別控除証明書」
住宅ローン控除を受ける場合は、2年目以降の年末調整でこの書類を提出します。初年度は確定申告で手続きを行います。
・その他証明書
たとえば、障害者控除を受ける場合には、障害者手帳の写しを求められるなど、受ける控除の種類によっては証明書の提出が必要になる場合があります。事前に確認しておきましょう。
申告書の記載について
扶養控除等(異動)申告書には、配偶者や扶養親族の「所得の見積額」を記入する欄があります。この「所得」とは、給与や年金、不動産所得など、各種収入から必要な経費や所得控除を差し引いた後の金額を指します。たとえば、給与収入が120万円の場合、収入のままではなく給与所得控除65万円を差し引いた55万円が所得金額となり、この55万円を申告書に記入する必要があります。給与所得以外に不動産所得や年金収入などがある場合は、それらの所得も合算して記入します。
記載漏れや誤記入があると控除の適用に影響する可能性があるため、正確な情報を記載することが大切です。
申告書の提出が不要なケース
基本的には、年末調整を受けるために申告書の提出が必要です。
ただし、年末調整の手続きを電子化している企業では、オンライン上で入力・提出が完結するため、紙の申告書の提出が不要となる場合があります。
年末調整の一般的なスケジュールについて
会社によって変わるところになりますが、年末調整の案内は10月下旬から11月上旬にかけて行われ、申告書の提出期限は11月中旬から12月上旬までというのが一般的です。
当事務所では10月下旬に各顧問先様へ案内を出しています。年末調整業務の代行も行っておりますので、お困りの方やご興味がある方は、ぜひお気軽にお問合せください。


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